p.10-3  放射線量と健康の関係 ↑前のページへもどる

■放射線による人体への影響■
 放射線による人体への影響に関する研究は、広島・長崎の原爆被爆者の寿命調査などの積み重ねにより進められてきています。一度に100mSv以上の放射線を受けると線量が低い場合は吐き気や嘔吐程度から高くなると脱毛、紫斑など様々な症状が生じ、7000mSv以上だとほとんど100%の人が死亡します。これを急性障害あるいは被ばくしたすべての人に影響が出るので確定的影響といいます。

 しかし、100 ミリシーベルト (mSv)以下の低い線量(低線量)を受けた場合は、90%以上の人には急性障害は起こらないと言われています。そのため100mSvを急性障害を起こす境界の線量、“しきい値”といっています。急性障害から回復した場合、或いは100mSv以下の被ばくでは、将来線量に比例して一定の割合でがんなどになる人が出ます。これを確率的影響或いは遅くでるので晩発障害とも言います。


■低線量放射線被ばくと発がんの関係■
 国際放射線防護委員会(ICRP)及び、米国放射線防護審議会(NCRP)では放射線の危険性から公衆を防護するための勧告を出しています。それにはある線量以下であれば発がんのリスクがないという境界の線量(しきい値)は認められず、発がんリスクは線量に比例して増えるという“しきい値なし直線(LNT)モデル”が最適であるとしています。右図に示すように1万人が1mSvを被ばくするとその中の1人ががんになり、10mSvであれば10人ががんになるという計算です。この考え方によれば放射線には安全量はなく、発がんは線量に比例して増えるので被ばくはできる限り避けるべきだということです。
 上の図では、日本の自然放射線が年間2.1mSvになっていますがこれには福島第一原子力発電所事故による線量は考慮されていません。今後は、これまでの平常時の 被ばく量に、事故による被ばく量を加算することが必要です。
       

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