生徒用p.5-3   電力の使用が制限される・・・・
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■計画停電と節電
 節電意識が高まったことはけがの功名とでもいうべきでしょうか。震災前の2010年の、東京電力の電力需要ピーク日の最大電力使用量は約6000万キロワットでしたが、2011年に1000万キロワット減少しました。その後2013年は猛暑にもかかわらず2010年にくらべ900万キロワットも下回って、5100万キロワットでした。それだけ世の中に節電意識が行き渡った結果でしょう。

 そうした節電を日本社会がこぞって進める契機になったのが「計画停電」でした。福島原発事故後から原発の停止に伴い、東京電力管内を始め各地で「計画停電」なる「強制停電」が行われました。原発停止による電力供給力不足を補うために、各地をいくつかのブロックに分けて、輪番停電を実施したのです。原発が止まったので、電力が大幅に不足する、そのように思い込まされるような事態が引き起こされました。
 しかし、その時にはこんなことが起こっていました。

■自家発電の規模
 大手電力会社の発電量を補っている独立系の電気事業者の規模は、2010年7月では1,774万kwの発電能力があり(大口自家発電施設者懇話会2010.7. ) 、これは東北電力と同じ規模で、中国・四国・北海道電力を上回ります。 ↓画面をクリックすると拡大表示されます。
 これらの電気事業者の電力を取引する市場が日本卸電力取引場PPSです。この市場で取引された電力は各電力会社が買い取って、電力会社の所有する送電網を通じて消費者に届けられます。

 震災直後の3月14日に、東京電力はこの取引所からの電力買い取りを停止しました。
 このころ、東京電力管内では先ほど述べた計画停電が実施されていて、各地で交通信号も止まって混乱していました。しかし、独立系の電気事業者の電力は、東電に買ってもらえず、余っていたのです。
 このことをどう解釈したら良いでしょうか。



■原発必要キャンペーン
 たしかに、原発が止まって東電の管理する発電・送電ネットワークが混乱していたと思いますが、東電は各企業が自家発電すればできたはずの電力を買わずに、消費者に計画停電という不便を押しつけたのです。原発が止まれば電力は足りない、というイメージを消費者に植え付けるために計画停電は実施されたのではという説に信憑性(しんぴょうせい)があります。
 電力自由化がすすみ、発電・送配電が分離されていれば、そもそも価格競争では原発は不利になりますから、大手電力会社でさえも原発を所有・運転することはできなくなるといわれています。

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