p.12-1   放射線の人体への悪影響/
     少しの放射線によるがん     

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 「放射線が人の健康に及ぼす悪影響については、まだ科学的に十分な解明がなされていません。」という言い方は問題をごまかしています。貴い犠牲を払いつつ、私たちは貴重な経験を積んできました。広島・長崎をはじめ、アメリカのビキニ環礁核実験による第五福竜丸をはじめとする被ばくの記録などがありますが、長期低線量被ばくの影響は、チェルノブイリ原発事故が参考になります。この副読本ではチェルノブイリ原発事故とその後の影響について全くふれていません。そのチェルノブイリでどのようなことが起こったか、見てみましょう。

■子どもたちの慢性疾患 ウクライナ

 上図のように、ウクライナでは慢性疾患のある子どもの割合が圧倒的です。放射線に敏感な子どもたちは、長期低線量被ばくの影響で免疫力が弱っていて、さまざまな病気にかかりやすくなっています。

■胎児への影響
 ドキュメンタリー映画「チェルノブイリ・ハート」(2003年)の中で、ゴメリ市立産院主任医師のニコライ・フラコフスキー医師は、「健常児は(生まれてくる子どものうち)15〜20%くらいでしょう。」と語っています。現場の産科医が胎児への影響を証言しているのですが、放射線との厳密な因果関係を証明できないために、公式な記録としては扱われていません。

■放射線の人体への悪影響 ガンだけではないリスク
   リスクはガン死だけではありません。放射線による障害はチェルノブイリで起こった様々な病気のことを考えてみる必要があります。
 

   チェルノブイリで起こった様々な病気

   ● 心臓病 ● 脳血管病 ● 糖尿病 ● 先天異常 ● 疲れやすい   
   ● 自律神経失調症 ● 免疫力低下による感染症 など
   ● 癌・白血病は10% 以下 

   ガン・白血病は放射線による病気の1割以下にすぎない。
   放射能の影響は「加齢」である。   


NPO"チェルノブイリ救援中部"の資料より



 「加齢」とは、通常より早く年をとることにより高齢者に特徴的な様々な症状、すなわち、成人病のような諸症状が若年層や子どもたちに現れているということです。

■保養プロジェクト 
 低線量でも長期にわたって放射線を被ばくしているチェルノブイリの子どもたちは、免疫力が低下していて、さまざまな病気にかかりやすくなっています。そうした子どもたちを放射線の影響の少ない土地に一時的に転居させると、免疫力が回復して元気になることが実証され、各地のNPOなどがそうした保養プロジェクトに取り組んできました。

参考: チェルノブイリの子どもたち

 日本でも、福島の子どもたちを対象に、放射能の影響の少ない土地でのびのび過ごしてもらおうと、各地で保養プロジェクトが取り組まれています。

参考: 保養情報:子供たちを放射能から守る福島ネットワーク

   そのような保養プロジェクトの一つとして、Days Japan の広河隆一さんたちが取り組んでいる、NPO法人沖縄・球美の里 の活動を紹介します。

 私たちの目的は、福島の原発事故によって被災した子どもたちの健康維持を支援することです。

 チェルノブイリ事故の後、日本でも原発が必ず事故を起こすと言い続けてきた多くの人がいました。しかし残念なことに事故を止めることはできませんでした。そして多くの被災者が出ました。政府やメディアが「安全」という言葉を繰りかえした結果、多くの人々が被曝をしました。そして今も人々は避難生活を余儀なくされたり、放射能の値の高い地域に住み続けています。場所によっては、チェルノブイリでは居住禁止区域になっているのと同じレベルの汚染地で、子どもたちが住んでいます。福島原発事故は、2年以上たった現在に至っても、多くの人々を苦しめています。そしてチェルノブイリ事故による影響が27年近くたった現在でも続いていることを考えると、日本でもまだまだ影響は続くでしょう。

 これは人災ですから、救援や支援も責任者たちの手で行われるべきという考え方もあるかもしれません。そうした運動も大切とは考えますが、同時に時間は待ってくれません。責任者たちが動いてくれるまで、子どもたちを放置することはできません。

 その広範な被害のうち、汚染された土地に今も住んでいる子どもや、事故当時被曝した子どもたちは、一定期間保養することによって、健康を回復し、将来の病気の発症を防ぐことが可能です。

 「沖縄・球美の里」は、子どもたちが汚染されていない土地でのびのびと遊ぶことでストレスから解放され、汚染されていない食物を食べることで、体内被曝の進行から解放され、抵抗力、免疫力をつけることを目的とします。

 チェルノブイリ原発事故の後、放射能は人々の免疫機能を冒しました。その結果さまざまな深刻な病気も発生しました。子どもたちが病気を発症するのを防ぐために、すぐれた医療に期待する人々も多いでしょう。それも大切なことです。しかし免疫機能が放射能で冒されるのを防ぐためには、保養が役立つということを、私たちは20年以上にわたるチェルノブイリの被災地救援の仕事から学びました。そこではこれ以上の被曝から子どもたちを守ること、つまり体内被曝を防ぐために安全な食べ物を食べること、汚染地でさまざまなストレスの中で過ごしていた子どもたちを解放し、のびのびと過ごさせることによって、私たちは子どもたちの病気の発症を避けることができると信じています。

NPO法人沖縄・球美の里 目的 より





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