p.10-1   放射線の透過力
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 副読本の記述は、"放射線は〜で止めること・弱めることができる。"という表現になっています。"放射線は簡単にさえぎることができるから、大丈夫だよ"というメッセージを伝えたいのでしょう。
 放射性線の透過力がどれくらいあるか、そして、透過するときに人間など生き物の身体を細胞レベルで傷つけることがあり、それをどうやって防ぐかを理解するのがここのテーマです。


 アルファ線は空気中では約45mm、人体中では約40μm(マイクロメートル*)しか進みません。  ベータ線は空気中では約1m、人体中では約1cmしか進みません。空中や人体中の物質の原子に衝突してしまって、 なかなか遠くへ飛ぶことができないのです。
 これらの距離から、知っておかなければならないのは、アルファ線やベータ線を出す放射性物質が人体に入ってしまった場合、つまり、 内部被曝している状況では、体の外から放射線測定器をあててもなかなか検知されないということです。

■放射線測定の注意
 空気中ではベータ線は1mほどしか飛びませんから、人が放射線測定器を手に持って直立した状態では、ベータ線は検知されません 。地面に近づけないとベータ線は測定できません。
 また、地表面でのガンマ線の強度を測定するときには、ベータ線も一緒に測定してしまうことがありますから、測定器の検知部分に金属の覆いなどをして、はかる必要がありませす。
 右の写真は、地面の放射線(ガンマ線)を測定しているところですが、一緒にベータ線を測定しないように、ステンレス製のトレイに載せて測定しています。この測定器の検知器は機器の底の部分についているからです。

*注:1マイクロメートル:0.001ミリメートル。  人間の髪の毛の太さの平均が約80μm。



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