教員用p.6-7 【放射線】食べ物から/ 学習のポイント ↑前のページへもどる

 食べ物の中に含まれている放射性物質には、カリウム40という物質があります。このカリウムは確かに人間の体にも欠かせない栄養素ですが、放射性カリウム40が、欠かせないわけではありません。放射性のカリウム40は、できれば食べない方がいい物です。
 このような身の回りの放射性物質が原因で、遺伝子が傷つき、人間はがんになったり、白血病になったりしているのです。さらに、人工の放射性物質を、カリウム40などのような自然にある放射性物質以外に余計に取り込む必要はまったくありませんから、人工放射性物質は環境中にない方がいいのです。
 この部分の記述のように、放射性物質がいくら身の回りにあったとしても、それが人間の体には「無用」であるばかりか、基本的に「有害」であるはずなのに、ただ身の回りに「多く存在」していて、「無害」であるかのような印象を読む者に与えようとしている記述があちこちにあります。放射線・放射性物質に対する心理的な障壁をできる限り取り除いて、放射線・原子力への親しみやすさを養おうとする意図がミエミエですので、注意が必要です。

 「◎放射線がどこにあるのか進んで調べようとする。」(学習のポイント)とありますが、福島原発事故でまき散らされた放射性物質が、環境中に大量に存在する現在の状況を考慮しているとは思えません。事故以前のたいへん脳天気な記述です。
 それよりは、事故により拡散された放射性物質が、どんなところに集積しているのか、たとえば、雨どいや雨水ますなど、マイクロスポットとよばれる場所についての注意をするべきだと思われます。

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