生徒用p.14 普段から放射線の量を調べる ↑前のページへもどる

 福島原発事故の際には、周辺の放射線の値が、避難している人々に伝えられなかったことが問題です。文科省が毎年数億円の予算を使って整備してきたという「放射性物質拡散予測システムSPEEDI (緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)」が、シミュレーションをしながらも、そのデータを公表しなかったりしたことの責任はどうなっているのでしょうか。
 副読本のここの部分に書かれているように、日常時には「その情報は公開されてい」るのでしょうが、それが事故の時になぜ周辺の人々に伝えられなかったのか、東京電力・文部科学省どこからもきちんとした反省のことばが発せられていません。それで、いくらこのような「日常時のシステム」があるからといっても、それで避難した人たちを始め全国各地の原発周辺に住む人々が、納得・安心できるわけがありません。
 事故時にどのようにして住民に対して放射線量のデータをすばやく提供するかが問題です。この部分の記述は、事故前とまったく変わらず、何事もなかった、従前の平常・日常のことを記述しているにすぎませんから、およそ現在の状況にはふさわしくありません。

 また、福島原発事故の際には、緊急事態応急対策拠点施設、いわゆるオフサイトセンターが全く機能しませんでした。原発に近すぎて、放射線量が高すぎ、電源・通信手段が遮断されて、何の役にも立ちませんでした。事故は起きないという過信のもとに構築されたシステムだったからです。
 緊急時に、最悪の事態に備えた監視体制や、住民へどのようにつたえるか、そのしくみを具体的に目に見える形で作り直さなければなりません。

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