教員用 p.21-c 放射線のリスクとベネフィット
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 放射線の医療分野における利用ならば、ここにあるようなリスクとベネフィットを考えることもよいかもしれないが、福島原発事故による現在の被ばく状況は、どう考えてもベネフィットがあるわけではない。被ばくを強いられている福島を中心とする人々はリスクを負うばかりで、ベネフィットを受けていた人たちは、東京電力の電気を利用していた東京をはじめとする関東の人々であったわけだ。
 放射線利用一般の話と、現在の被ばく状況を一緒に話をするべきではないし、そんな議論を持ち出しているということは、この副読本の発行の意味があくまでも放射線利用の普及促進にあることを暴露していることになる。
 また、このページの前の注p.21-aで触れたALARAの法則でも見られるが、ICRPの議論には、この「リスクとベネフィット論」 と同じように、「最適化」の議論の中で「コスト・ベネフィット論」 が必ず出てくる。原子力産業にとっての基本的関心はコスト・ベネフィット論であろうが、その延長上でリスク・ベネフィット論も議論されている。人の命もお金に換算されてしまっている。

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