教員用 p.11   放射能と半減期
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 物理学的半減期に加え、生物学的半減期を加味したものを実効半減期というが、 実効半減期は物理的半減期よりも圧倒的に短いというような印象を 与える意図が、みえみえの記述になっている。
 ここで記述されている「生物学的半減期」に関しては、誤解が生じやすい。 福島原発事故後の現在では、環境中にセシウム137 (一定期間内ではヨウ素131)などの放射性物質が大量に存在し、 それら放射性物質は環境中に生活する人体に連続的に内部被ばくを引き起こしている。 従って、実験室的にたった一度だけ放射性物質を取り込んだ場合であれば、 記述された「生物学的半減期」で放射線量は半減することになるが、 連続的に取り込んでいる状況では、むしろ放射線量は蓄積していく ことになる。従って、実効半減期もその数字どおりには放射線量は減少していかない。 そうした指摘は不可欠である。
 次のグラフは、ICRPが2011年4月に、福島原発事故を受けて、 日本向けに公表した資料である。大人の場合、毎日10Bqずつの摂取でも、 セシウムは体内に蓄積し、約1年で1400Bqほど蓄積して飽和するすることが示されている。

 

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