生徒用p.19   環境モニタリング
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 福島原発事故の際には、周辺の放射線の値が、避難すべき人々に 伝えられなかったことが問題です。文科省が毎年数億円の予算を使って整備してきた という「放射性物質拡散予測システムSPEEDI (緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)」が、シミュレーションをしながらも、そのデータを公表しなかったりしたことの責任は どうなっているのでしょうか。
 このような「日常時」のシステムがありながら、それが事故の時になぜ周辺の人々に 伝えられなかったのか、文部科学省・東京電力どこからもきちんとした反省のことばが 発せられていません。それで、いくらこのような「日常時のシステム」があるからといっても、 それで避難した人たちを始め全国各地の原発周辺に住む人々が、 納得・安心できるわけがありません。
 測定はしていても、単にデータとして残すためだけに測定するのではなく、 どのようにして住民に対してそのデータをすばやく提供するかが問題です。 この部分の記述は、事故前とまったく変わらず、何事もなかった、従前の平常・日常のことを 記述しているにすぎませんから、およそ現在の状況にはふさわしくありません。
 また、福島原発事故の際には、緊急事態応急対策拠点施設、いわゆるオフサイトセンターが 全く機能しませんでした。原発に近すぎて、放射線量が高すぎ、電源・通信手段が遮断されて、 何の役にも立ちませんでした。事故は起きないという過信のもとに構築されたシステムだった からです。
 緊急時に、最悪の事態に備えた監視体制・住民への周知のシステムの構築が必要です。
 

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