教員用 p.20 放射線に関する職業
↑前のページへもどる

 福島第一原発事故により、大量の放射性物質がまき散らされた現在では、新しい職業が必要になるのではないだろうか。すなわち、人々の日常空間における放射線量を測定し、放射線被ばくを避けるためのアドバイスをするような職業である。「放射線管理者」の仕事の拡張をする必要がある。
 また、今後数十年にわたって継続していかなければならない、福島第一原発事故の後始末に関わる放射線の知識をそなえた技術者も、大ぜい必要とされるはずである。
 そして、大勢の被ばく労働者も産み出されることになる。チェルノブイリ原発事故の際には、のべ60万人にものぼるリクビダートル(後始末をする人)と呼ばれる人々が、人海戦術さながらに投入され、大量の被ばくをして、現在、つぎつぎに発病して、命を落としたり、重い障害に苦しんでいる。(放射線の影響調査を考えた場合、これらの人々を対象にした包括的な被ばくと障害の追跡調査が組織的に行われているとは言いがたい。) 日本でもこれからそうした「人材」が今後数十年にわたって必要とされるはずである。
 格差社会といわれる日本の現状で、そうした「被ばく労働」に携わる人がどのような人になるか、考えてみればわかる事柄だろう。事故が起こらなくとも、原発というのは日常的に被ばく者を産み出す構造を持っているということは、以前から指摘されていた。 

↑前のページへもどる   検証TOP▲